ジブリ映画『紅の豚』の舞台となったモデル地を徹底紹介。 アドリア海やクロアチアのドブロブニク、ギリシャ・ザキントス島など、実際に訪れることができる聖地巡礼スポットをまとめました。 映画ファン必見の旅ガイドです。. 13世紀以降に地中海交易の拠点として栄えたこの街は、ジブリ映画の名作『紅の豚』や『魔女の宅急便』のモデルとなったとも言われる美しい街です。 ドブロブニクの旧市街を取り囲む全長約2キロの城壁は遊歩道となっており、そこからは赤い屋根の街並みとエラフィテ諸島の島々を一望。 輝く海は透明度も高く、晴れた日には映画の世界そのものの絶景を楽しむことができます。 「飛行艇乗りの連中ほど気持ちのいい男たちはいない。 それは海と空の両方がやつらの心を洗うからだ」という『紅の豚』の名セリフも納得の美しい青い海。 見晴らしのよい城壁の散策は映画のワンシーンを彷彿とさせる景色に出会えることでしょう。
『紅の豚』(くれないのぶた、英語: Porco Rosso)は、1992年7月18日に公開されたスタジオジブリ制作による日本のアニメーション映画。宮崎駿監督の長編アニメーション映画第6作。原作は『月刊モデルグラフィックス』に連載していた漫画「飛行艇時代」。キャッチコピーは「カッコイイとは、こういうことさ。」、「飛べば、見える。」
興行収入は54億円、観客動員数は305万人で、前作の『魔女の宅急便』に続いてアニメーション映画の歴代興行収入記録を塗り替えた。また、アニメーション映画として初めて年間興行収入第1位となった。
解説
中年のための作品
世界大恐慌の時代のイタリア、アドリア海を舞台に、飛行艇を乗り回す海賊ならぬ空賊と、空賊相手の賞金稼ぎを生業とするブタの姿をした退役軍人パイロットの物語。戦間期の地中海を様式化して描いた本作は、宮崎駿が長年にわたって寄せてきた航空機や空を飛ぶこと、ヨーロッパの風景や文化、そして過ぎ去った時代に対する憧憬を反映している。
その理由は決して本篇で明かされないブタの姿をした主人公によるハードボイルドな空中冒険に、ファンタジーやロマンティック・ドラマの要素を融合させた本作は、社会への幻滅、個人のアイデンティティ、そして戦争がもたらした心の傷といったテーマを、主人公の生き方を通じて掘り下げている。さらに、宮崎駿の反戦的・自由主義的な感性と、戦間期のイタリアで台頭したファシズムに対する批判的な視点を反映しつつ、宮崎駿作品特有の精緻な機械造形と壮大な飛行シーンを通じて、初期の航空技術の職人技と熱いロマンを称えている。
宮崎自身がその演出覚書において「『疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のための、マンガ映画』であることを忘れてはならない」と記しているように、宮崎は本作を、「若者をまったく排除して作った(中略)『中年のための作品』」と銘打っている。一貫してアニメを子どものために作ることを自らに課してきた宮崎にとっては、製作後も是非を悩み続ける作品となった。
一方で「イタリア人すら忘れてしまった航空機を復活させたり、存在しない空軍を出せたりしたことは道楽としては楽しかった」とも語っている。また、後述のように続編製作を考えるなど、宮崎の思い入れが非常に深いことがうかがえる。
なお本作は、舞台となったイタリアでも好意的どころかカルト的な人気を誇っている。国外上映における最大の興行収入を上げた国はイタリアであり、ある調査によれば現在でも同国における最も人気の高いスタジオジブリ作品の一つとされている(その他、フランスやスペインなどのロマンス語圏で本作の人気は際立っている)。
視点
宮崎駿の理想化された視点によれば、『トップガン』に登場する1980年代のジェットパイロットのような、大言壮語で傲慢なアクションスターが登場する以前、そして第二次世界大戦中に都市へ何トンもの爆弾を投下した、冷酷無比な爆撃機パイロットが登場する以前、航空機のパイロットは、古き良き騎士道精神と優雅さを体現する最後の存在であった。それは、飛行の詩情、イカロスの夢の実現、そして自由への約束の中に表れた高貴な魂であった。
第一次世界大戦に登場した空中戦もまた、泥、有刺鉄線、そして恐ろしいほど機械的な死で彩られた卑劣な塹壕戦とは鮮明に対照をなし、アーサー王時代の騎士たちの決闘を彷彿とさせる気品ある戦いという形で現れた。戦争が終わると、幸運なパイロットたちにとっては、祝宴や社交界での生活、誰が最も速いマシンを持っているかを競い合い、かつての未来的な乗り物の極致を操って自らの限界を超えようとする時代が訪れた。そのすべてが、多くの場合、命を賭して行われたのである。
なお、主人公が新しい機関銃と弾薬を買いに行く銃器店の壁には、アルファロメオの紋章が見られる。このように今ある歴史的自動車メーカーの多くは、かつては航空機エンジンの製造メーカーでもあった。主人公がその愛称の由来でもある赤色(ロッソ)の機体に乗っているのは、エアレース「シュナイダー・カップ」でイタリアのナショナルカラーが赤色であったことに主に由来しており、この慣習はのちにモータースポーツへと引き継がれ、パイロットゴーグルを着けたドライバーたちが、アルファロメオ、フェラーリ、マセラティといった赤い車体の美しいスポーツカーに乗り、命を賭けてその腕を競い合った(本作のように) 。
「徐々に遠のいていくエンジンの轟音、夕暮れが魅惑的な夜へと移り変わる風景、飛行艇にそっと打ち寄せる波の音、そして古典的な”ファム・ファタール”が歌うシャンソン――その歌声は、命を賭けて冒険するパイロットたちを魅了し、恋に落とす」。こうした本篇冒頭の象徴的な美的表現を通じて、宮崎は観客たちを瞬く間に「あの特別な時代」の空気感に没入させ、その独自のフィクショナルな視点を印象付けている。
一方で、戦争が残した重い爪痕である自分だけが生き残ってしまった罪悪感と、当時のファシズムに傾倒していく人間社会への幻滅、そして心理的な矛盾や葛藤を抱えることで宮崎曰く「聖人君子としては生きられない」という厳然たるリアリズムが、主人公をブタたらしめる暗示として機能している。本作のヒロイン2人は、そんな主人公の「人間」としての側面を呼び覚まして彼の精神的再生を支え、成熟した女性のジーナは主人公の純粋な「過去」と呪われた「現在」を繋ぎ止め、初々しい少女のフィオは心を閉ざす主人公を希望ある「未来」へと導く役割を果たしている。
本作に通底しているのは、宮崎が抱く「非戦」や「反戦」思想である。本篇最初の戦闘シーンは、子供が悲惨な目に遭わされる現実の戦争に対して、子供たちが大人を翻弄するという逆転の構図で描かれている。そして機体を降りて海で殴り合いの決闘となる最後のクライマックスシーンは、相手を撃ち落とすシリアスな空中戦から、無邪気でエネルギッシュな子供の遊びのような描写へと転換させることで、宮崎は「戦闘」から「祝祭」へとその意図をあえてずらして「戦争へのアンチテーゼ」とした。
「さらばアドリア海の自由と放埓の日々よ」というセリフが登場するように、その後訪れる現実的な世界情勢の不穏な兆しも丹念に描きつつ、最終的には「それでもみんなに元気で生きていてほしい」という宮崎の願いが、本篇最後のモノローグに込められている。そしてエンドロールにおいて、イラストのキャラクター全員がブタになっている印象的な描写を通じて、純粋に飛行機を作ることや空を飛ぶことが戦争に繋がってしまうという矛盾や悲哀をも仄めかしており(これは「飛ぶこと」にはこだわるが、戦争で人殺しはしたくないという主人公の矛盾した美学にも通じる)、このテーマはのちに『風立ちぬ』で詳らかにされた。
本作における最も有名なセリフ「飛ばねぇ豚はただの豚だ」は、戦間期のイタリア空軍で掲げられ、現在もローマの空軍省宮殿内の銘板に刻まれている、以下の格言とそのスタンスを共有しており、日本人(武士道)とイタリア人(騎士道)に共通する「名誉」や「誇り」への執着が表れている。さらに言えば、セリフにある「飛ぶこと」が「自分らしさ」(アイデンティティ)や「精神的な自由と停滞」(モラトリアム)の表現、すなわち「社会に流されず、自らの信念に従い、自らの責任で自由に行動する姿勢」を示しており、宮崎は「それが、これから生きていく上で必要だなと、自分も切実に思ったから」と述べている。
時代背景
第一次世界大戦で戦勝国だったイタリア王国だが、国民から「栄光なき勝利」と呼ばれるほどに経済は不安定になっていた。本編は1929年前後の物語で、既にイタリアは1922年のローマ進軍以来、ムッソリーニ率いるファシスト党の独裁下となっている。
1931年から本格的にヨーロッパへ波及する大恐慌の足音や、この当時一世を風靡したアニメーション映画・ベティ・ブープに似た作品や、ライバル役のカーチスが1933年のラジオドラマ『ローン・レンジャー』の名台詞「ハイヨー、シルバー!」を口にするなど、当時の世情をうかがわせる描写が散りばめられている。
制作当時は冷戦終結とユーゴスラビア紛争勃発の時期で、宮崎は「その後また民族主義かっていう、その”また”っていうのが一番しんどかったですね。第一次大戦の前に戻るのかっていう感じでね」と述べている。
音楽
音楽を担当した久石譲は、同時期に1920年代をテーマにしたソロアルバム『My Lost City』を制作しており、宮崎が同じ時代を舞台に本作を作っていたことに運命的なものを感じたという。宮崎は『紅の豚 イメージアルバム』と一緒に送られた同作をとても気に入り、「あの曲が全部欲しい、全部『紅の豚』に欲しい」「イメージアルバムと取り替えて下さい」と久石に要求したという。結果的に、同作に含まれる一曲「狂気」(Madness)が挿入曲として本作に正式採用されることとなったほか、いくつかの楽曲が本作の音楽イメージに影響を与えている。
また本作には、南ヨーロッパ風の哀愁やノスタルジアを感じさせる甘美な旋律が主題として度々登場する。この主題はホテル・アドリアーノのレストランバーでのピアノ演奏という設定で初めて登場し、ジャズ・エイジという時代背景も考慮され、ジャズ的な語法で演奏されたそのピアノバージョンは、サウンドトラックに「帰らざる日々」(Bygone Days)という楽曲名で収録されている。そのほか、本篇で流れるさまざまな変奏バージョンがサウンドトラックに収録されているほか、本作公開以降の久石のアルバムには「il porco rosso」という楽曲名でも度々収録されている。なおこの主題の旋律は、前述した『My Lost City』に含まれる一曲「Two of Us」からその一節が引用されており、久石によるセルフオマージュとなっている。
製作
30分の短編として企画開始
『魔女の宅急便』のヒットにより、興行的な成功というプレッシャーがのしかかるようになった宮崎は、次の大作へのステップとして息抜きになるような30分程度のビデオ用作品として、本作品を製作することを提案した。しかし、宮崎の作品は膨大な予算を必要とすることと、鈴木プロデューサーがビデオ用作品を作ることに否定的であったことから、史上初の機内上映作品として日本航空に企画が持ち込まれた。
なお、後に『紅の豚』となる作品の原案はかなり前から宮崎が温めていたものであり、ビデオ用作品としての企画以前に宮崎が映画化の提案をしたことがあるが、鈴木プロデューサーは「豚が主人公の映画にお客さんが入るわけがない」と猛反対したという。
また、当時の日本航空は機内上映作品に関しては飛行機事故の場面を上映しないという内規が存在していたが、宮崎は制作段階の時点で日本航空と協議した上で墜落シーンを挿入させることの了解を得た。
飛行艇時代の連載
企画書は1990年2月27日に完成、この時点での予算は2億円だった。並行して月刊誌『モデルグラフィックス』1990年3月号〜5月号の、宮崎が担当する連載「宮崎駿の雑想ノート」において、原作となる「飛行艇時代」が連載された。
『紅の豚』は「飛行艇時代」のあらすじを大筋で踏襲しているが、「飛行艇時代」にはポルコの過去のエピソードとそれに関わる人物(ジーナとフェラーリン)、ポルコが指名手配されファシスト政権に狙われるシーンなどシリアスな要素はなかった。また、原作はピッコロ一族の男性が何名か登場するほか、マジョーレ湖で十分にテストをしてから出発するなどの相違点もある。この「飛行艇時代」は、大日本絵画より刊行された『飛行艇時代』(1992年、増補改訂版2004年)に再録されている。
1990年9月、宮崎のほかプロデューサーの鈴木敏夫、アニメ監督の押井守ら6名でロケハンが行われた。当時の企画案を反映して、イタリアのテベレ川流域の山岳都市をめぐり、最後にローマを訪ねるというものだった。
長編作品へと変更
1990年11月から製作が開始され1991年8月に完成する予定だったが、『おもひでぽろぽろ』の制作が遅れ、1991年3月に宮崎駿1人で準備班を立ち上げる形でスタートすることとなった。宮崎はこの間に『おもひでぽろぽろ』の製作プロデューサーを務めながら『紅の豚』のコンテを切っていたが、当時勃発した湾岸戦争の影響もあり、ストーリーは当初の能天気な航空活劇と異なるものとなっていき、当初の上映時間に収まりきらなくなっていった。
そこで鈴木敏夫プロデューサーは日本航空と日本テレビに直談判し、ビデオ用作品を改め長編アニメ映画とする許可を取り付けた。同年5月にメインスタッフが入り今回は女性スタッフが主流の作品となった。その間に「宮崎作品なら」と東宝、徳間書店、日本テレビが製作に加わったため、上映時間も30分から45分、60分から80分、更に90分以上の長編化とし劇場公開されることとなった。このため、前述の経緯から、劇場公開より17日前となる1992年7月1日から一部の路線を除く日本航空国際便機内で先行上映され、劇場公開後も機内上映は続けられた。2007年9月、日本航空国際線機内で「紅の豚」の再上映が行われた。
日本テレビの関係が盤石に
前述の鈴木敏夫のインタビューで映画化のために日本テレビに直談判したと語られており、日本テレビが製作会社の一員となっているが、当初はフジテレビによって製作される予定であったことが日本テレビの役員で本作の製作委員会の一員でもある奥田誠治によって明かされている。日本テレビはスタジオジブリ発足第1作の『天空の城ラピュタ』から放映権を獲得して、『魔女の宅急便』以降は製作にも参加してきた。
そのジブリ作品がフジテレビへ移籍することを脅威に感じた奥田は、鈴木敏夫や宮崎駿に働きかけて動いてもらい、日本テレビが担当するように2、3ヶ月がかりで話を現場からひっくり返したのだという。2004年に出版された日本テレビの社史で奥田は「そこがターニングポイントで、ジブリと当社の関係も決まった感じ」と本作以降、スタジオジブリと日本テレビの関係が盤石になった語っている。以後、NHKが『アーヤと魔女』を2020年に製作して放送するまで地上波でのジブリ作品は日本テレビが独占した。その後、2023年に日本テレビがスタジオジブリを子会社化しており、資本上も日本テレビの関連企業となった。
公開後
2009年、英有力誌「Time Out」が発表した「史上最も偉大な50本のアニメーション映画」において、第30位に選ばれた。2025年、同誌が発表した「史上最高のアニメーション映画100本」においては、第70位に選ばれた。
テレビでの放送は、ジブリ作品全体で見ても頻度は高い方であり、金曜ロードショーだけでも1993年の初放送から2025年5月放送で14回を数え、初回の視聴率は20%以上、以降も10%以上を維持している。また、宮崎が長編アニメ映画制作からの引退会見を行った2013年9月6日に当初の放送予定を変更して急遽オンエアされている。
この作品以降、スタジオジブリ作品における宮崎駿監督作品は全て東宝系での公開となっている。
『紅の豚』の続編
続編に関して宮崎は、作品完成後の打ち上げで「紅の豚パートIIを製作する」、「そのためにラストのストーリーも変更した」と発表していた。
主演の森山周一郎は後に「(宮崎は)引退を発表したが、パートIIを製作しないとストーリーが尻切れトンボのままで完結しない。何とか約束を実行して頂きたいものである」と述べている。しかし、森山は2021年に死去したため、この願いが叶う事はなかった。
あらすじ
ファシスト政権が統治する戦間期のイタリア。深紅の飛行艇サボイアを操る豚のポルコ・ロッソは、かつて人間だった頃イタリア空軍のエースだったが、今はアドリア海の小島に隠棲し、空中海賊(空賊)退治を請け負う賞金稼ぎとして暮らしている。ある晩、昔馴染みのジーナが営むホテル・アドリアーノを訪れたポルコは、米国製の水上機を操るアメリカ人男性カーチスに出会う。彼は空賊連合が雇った用心棒で、ポルコを撃墜して名を挙げたいと考えており、またジーナとの結婚を画策していた。
しばらく後、愛機サボイアのエンジン整備の為ミラノに向かって飛んでいたポルコはカーチスと遭遇し、元々のエンジン不調が災いして撃墜されてしまう。ポルコは大破したサボイアをミラノの工房ピッコロ社に持ち込むが、社長のピッコロおやじの孫でまだ17歳の少女フィオがボディの設計・修理に当たるという。ポルコはフィオを信用せずよそを当たろうとするが、フィオの熱意と、彼女が徹夜で仕上げた設計図を見て技術を認め、愛機の制作を任せる。出稼ぎ中の男達に代わってピッコロの親族の女達が集まり、飛行艇修理が始まった。
一方、ファシスト政権に非協力的なポルコは、ミラノでも秘密警察や空軍に追われていた。警告に来たかつての戦友フェラーリンは空軍への復帰を薦めるが、ポルコは遠回しに「そのつもりはない」と告げる。サボイアが完成するとポルコはすぐに出発を決めるが、フィオは整備士として同乗を懇願。「人質」という建前でフィオを乗せたサボイアは秘密警察を振り切って離陸する。
カーチスはホテル・アドリアーノの私庭に忍び込み、ジーナに「自分は映画俳優、ひいては大統領になる」と宣言、一緒にアメリカに渡ろうと誘うが、その上空にサボイアが飛来しそのまま去ってしまうと、ジーナは「アメリカへはボク(カーチス)一人でお行きなさい」とカーチスの申し出を断った。
ポルコがアドリア海の隠れ家に帰還すると、待ち伏せしていた空賊連合とマンマユート団が飛び出しサボイアを叩き壊そうとするが、フィオは毅然とした態度で飛行艇乗りの名誉と誇りを語り空賊達を黙らせる。その場に現れたカーチスは、今度はフィオに一目惚れし、ポルコとの勝負で勝利したら結婚しようと申し出る。フィオはポルコが勝利した場合はサボイアの修理代全額をカーチスが負担するという条件で承諾。困惑するポルコをよそに、フィオの運命をかけた決闘が決まってしまう。
決闘当日、大勢の空賊や野次馬が見守る中、ポルコとカーチスのドッグファイトが始まる。決着がつかず、飛行艇を降りた2人は素手の殴り合いにまでもつれ込んだ末、ダブルノックアウトの後にジーナが飛行艇で到着する。ジーナの一言で辛うじて立ち上がったポルコが勝者となる。フェラーリンから秘密裏に情報を得ていたジーナは、イタリア空軍が捕縛のために迫っている事を知らせ、見物していた空賊や群衆達は急いで逃げ出す。ポルコは自分についてこようとするフィオをジーナの飛行艇に押し込み逃がす。別れ際にフィオのキスを受けたポルコの顔を見たカーチスはひどく驚く。
フィオのモノローグでその後が語られつつ物語は幕を閉じる。
登場人物
ポルコ・ロッソ(Porco Rosso) / マルコ・パゴット(Marco Pagot)
声 – 森山周一郎(青年時代:古本新之輔)
本作の主人公で、口髭をたくわえた豚人間の姿になっている男。映画パンフレット によれば、軍に戻る事を拒否して自分自身に魔法をかけたのだという。通称はイタリア語で「赤い豚(紅の豚)」という意味。1892年 – 1893年生まれの36歳。17歳の頃から飛行機を乗り回し、イタリア空軍入隊後は大尉まで昇進し、第一次世界大戦ではエース・パイロットとして華々しく活躍していた。退役した現在は、全体を艶やかに赤塗りした飛行艇サボイアS.21試作戦闘飛行艇に乗って空賊相手の賞金稼ぎとして荒稼ぎしている。一方で、かつて大戦中に嵐の海に落ちた敵パイロットを助けたなどの義侠心あふれる逸話も伝わっていて、豚の姿となった今でも多くの女性たちにモテる人気の飛行艇乗りである。
ピッコロ一族のバァちゃん達には、「ポルチェリーノ(ブタちゃん)」と呼ばれている。
腕の良い賞金稼ぎとして幾多もの空賊を撃退しているが、「戦争ではないから殺しはしない」というポリシーを持っている。機動性に優れる戦闘機同士のドッグファイトでは「ひねり込み」と呼ばれる戦闘機動を得意とし、彼同様に優れたパイロットであるカーチスですらはめている。
普段はアドリア海にある無人島の隠れ家で自由気ままな暮らしを送っている。街に出る時には白い背広に赤いネクタイを着用し、上からカーキ色のトレンチコート姿、ボルサリーノのソフト帽を被り、夜中でも黒眼鏡を常用して目元を隠しているが、顔を洗うシーンで素顔を見せている。原作『飛行艇時代』ではジェノバ市出身で、機体にも垂直尾翼にジェノバ市の市章を描き入れている。また出身地故に共和派である。
ジーナとは幼馴染み。決闘前夜、無人島で眠れずにいたフィオから「何かお話をして」と頼まれた際に、ジーナの最初の夫で自身の戦友ベルリーニが戦死した時の出来事を話した。その際、彼がベルリーニの代わりに自ら死を選ぼうとする描写があった。
元空軍のエースパイロットだが現在は軍を嫌い、アニメでは明言されていないが、原作『飛行艇時代』ではクライアントがイタリアと緊張関係にある「貧乏なバルカンの諸国」である事が述べられており、その為に秘密警察から常時監視されている。一方で空軍に残った友人との縁は切れておらず、空軍復帰を強く望まれているが、ポルコは拒否している。
終盤、フィオが彼の口にキスをした事で、その顔に変化があった描写があるが(カーチスに顔を見られている)、その時の顔は意図的に写されていない。
本名の由来はイタリア・アニメーションの先駆者であるニノ・パゴット/トニ・パゴット兄弟、およびニノの子供であり日伊合作アニメ『名探偵ホームズ』(宮崎駿が監督を務めた)の伊側プロデューサー、マルコ・パゴット/ジー・パゴット兄弟から。声優は、宮崎が海外ドラマ『刑事コジャック』のファンだった事から、コジャック(テリー・サバラス)を吹き替えた森山が起用された。トレンチコートに帽子とサングラスという外見は、コジャックと同じである。
また森山のもう一つの代表作であるジャン・ギャバンの芝居の影響もあるとの指摘もある。
後年のスタジオジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』の妖怪大作戦で、赤いサボイアS.21に乗って空を飛ぶポルコが一瞬映る他、『耳をすませば』に登場するドワーフの大時計に「Porco Rosso」と刻まれている形で氏名のみ登場する。
マダム・ジーナ(Gina)
声 – 加藤登紀子
ホテル・アドリアーノを経営する未亡人の女性実業家。歌姫でもあり、ホテル・アドリアーノのレストラン・バーで自らシャンソンを歌ったりもしている。これまでに三度飛行艇乗りと結婚し、全員と死別している未亡人である為、フランス語で「夫人」を意味する「マダム」で通っている(フルネームは不明)。絶世の美女で、空賊を含めた数多くの飛行艇乗り達のマドンナであり、「アドリア海の飛行艇乗りは、みんなジーナに一度は恋をする」と言われている。なおホテルは、ドブロク市(ドヴロク市とも表記)の沖合に浮かぶ小島にある。
ポルコの昔馴染みで、作中で彼の事を本名のマルコと呼ぶ唯一の人物。ホテルのレストランの片隅に、一機の飛行艇に乗る若い頃の彼女と四人の男性(その中の一人で、顔が黒く塗り潰されているのが若く人間だった頃のポルコ)が写った写真が飾られている。ポルコが人間だった時の写真はこの一枚しか残されておらず、夜に店に来たポルコがジーナに「この店にあの写真がある事が唯一気に入らない」という旨を言い捨てている。
ポルコの事を以前から密かに愛していた様子で、彼を豚に変身させた魔法を解く方法を探している。また、「ホテルの裏にある私庭に、昼間ポルコが訪ねて来るかどうか」という賭けをしており、訪ねてきたら、その時こそ本気で彼を愛すると決めている。この賭けの事を知っているのは、私庭に侵入し彼女から話を聞いたカーチスと、彼女と友人になったフィオだけ。
極秘に軍部を含む大規模な情報網を持ち、私室には情報収集用の本格的な無線機も設えている。コールサインは、ハートのG。後に、ポルコとの縁でフィオと親しくなる。
フィオ・ピッコロ(Fio Piccolo)
声 – 岡村明美
1912年 – 1913年生まれの17歳。ピッコロのおやじの孫娘で、飛行機設計技師。同じく技師である彼女の父親は元空軍パイロットで、大戦中はポルコと同じ部隊に所属していた。アメリカでの修行経験があり、才能はピッコロのおやじのお墨付き。当初は「女性」「若過ぎる」と言う点から不安を覚えたポルコも愛機の再設計を任せる程に信用する。姉のジリオラの他に、サンドラ、マリエッタ、ソフィア、マウラ、コンスタンス、ヴァレンティーナなど多数の従姉妹がおり、戦闘機製造の仕事に参加した。本人に自覚は見られないがかなりの器量良しである描写があり、ピッコロのおやじもポルコに対して事あるごとに「手を出すなよ」と言っている。
再建したサボイアの飛行テストもままならずにミラノを出発しようとするポルコに「自分の仕事に最後まで責任を持ちたい」という理由で無理矢理同行する。空賊連合とマンマユート団を相手に臆することなく説教をする程の度胸があり、カーチスが彼女に一目惚れした事を利用して、ポルコとの再戦を取り付ける。もっともこれに関しては、空賊達が去った直後、ポルコに(空賊達が怖かったので)今になって足が震えていると告白し、平常に戻るためか急に下着姿になって海で泳ぎ始めた。マンマユート団にも惚れられ彼らのアイドルのような存在になる。決闘前夜、眠れずに寝返りを打った時、一瞬ポルコの人間としての素顔(口髭をたくわえたスマートな男性)を目にした。
再戦の決着後もポルコと行動を共にするつもりでいたが、ポルコは彼女をジーナに預け、自分から遠ざけた。ジーナとはこれを切っ掛けに親しい友人となる。後にピッコロ社を継ぐ。
ピッコロのおやじ(Master Piccolo)
声 – 桂三枝(現六代目桂文枝)
ミラノの飛行艇製造会社「ピッコロ社(Piccolo S.P.A.)」の社長で、フィオの祖父。ポルコの昔馴染み。
金払いにはシビアだが、面倒見の良い性格。孫娘の熱意と技量を認めており、持ち込まれたサボイアの改設計を担当させる。機体設計を担当していた三人の息子たちは出稼ぎのため不在で、他の男手もみな出払っていた事から、親戚中の女性たちを大勢呼び集めて工場を稼動させた。作中では機体全般をフィオに任せ、自らは最も得意とするエンジンチューニングに専念する。
声優に関しては、製作当時に三枝が別番組で共演した森山へ「吹き替えをやってみたい」と相談。それを受けた森山が宮崎に「何とかならないでしょうか」と聞いた事で三枝が起用された。また、宮崎は三枝の起用に合わせ、ピッコロの役を大幅に書き足したという。
マンマユート・ボス(Mamma Aiuto Boss)
声 – 上條恒彦
大きな赤鼻に髭面、飛行帽にゴーグルが特徴の、空賊マンマユート団の首領兼空賊船ダボハゼ号船長。マンマユート団は、直訳すると「ママ助けて団」であるが、原作『飛行艇時代』では「ママ怖いよ団」と訳されている。この名称は、カント社の飛行艇Z.501に対して、その鈍重で脆弱な性能により当時の搭乗員たちから名付けられた自虐的な愛称「マンマユート」から引用されている。メインキャラクターの一人だが、正式な名前は設定されておらず、エンディングテロップにおいても「マンマユート・ボス」とクレジットされている。直情的で荒っぽいが、落ち度を指摘されれば素直に認める潔さを持っている他、「仲間はずれが出たら可哀想」という理由で幼い子供達を全員さらっていき、怪我をさせないように扱うなど、子供には優しく、人情味があることから手下たちからも深く慕われている。また、ポルコの過去を知る数少ない人間の一人でもある。彼を含む一味全員がジーナにもフィオにも惚れている。空賊連合と同様にジーナの店の近くでは仕事をしていない。
率いるマンマユート団は客船襲撃に金品強奪、児童誘拐にも手を染める悪党だが、ポルコから小物扱いされている。手下たちはボス同様、人情に厚く、女性には弱い。またボスと容姿がよく似ている。
ラストシーンでも年老いた彼がスーツ姿で登場し、アドリアーノに来ている様子が描かれている。
ドナルド・カーチス(Donald Curtis)
声 – 大塚明夫
アラバマ生まれのアメリカ人で、祖母はイタリア人のクォーター(1850年代に南イタリアからアメリカへの移民が多かった時代背景がある)。ディズニーから発売されたアメリカ版では、テキサス出身となっている。愛機はカーチス R3C-2をモデルとした架空機「カーチス R3C-0非公然水上戦闘機」。空賊連合が雇った用心棒で、ポルコの最大のライバル。パイロットとしての技量は彼も認めるほど大変に優れている。下が砂地だったとはいえ、高所から空中回転して着地するなど非常に運動神経も良い。女好きの惚れっぽい性格で、それぞれ違ったタイプの美しさを持つジーナやフィオを次々に口説くも、ことごとく玉砕する。エンディングではアメリカに帰国後、映画俳優へと転身して、西部劇(題名はTriple Love)の主演俳優を務めるなど活躍している。空賊の用心棒や映画俳優は、あくまでも人生の最終目標への布石である(なお、劇中カーチス主演のポスターは、俳優から大統領に成り上がったロナルド・レーガンの主演映画のレイアウトを踏襲している)。原作『飛行艇時代』では、ドナルド・チャックと名乗っており、「カーチス」は愛機にちなんだニックネームとなっている。また、空賊の用心棒となる展開自体は変わらないが、中盤で戦闘する相手は豪華客船の用心棒ではなく、イタリア空軍のパトロール部隊であるなど、多少の差異が見られる。カーチスの外見、性格、振る舞いなどの大まかな特徴は、1930年代に一世を風靡したエロール・フリンが演じた冒険映画のヒーローたちから直接引き継がれているようである(実際、両者は特徴的な顎のラインを共有している)。
声優選考の最終段階では、大塚明夫と山寺宏一の2人が候補に挙がり、最終的に大塚が選定された。
フェラーリン(Ferrarin)
声 – 稲垣雅之
ポルコの元戦友で、現在はイタリア空軍少佐。ジーナと共に作中においてポルコを本名で呼ぶ数少ない人物である。名前の由来は、カプローニ社の設計者カルロ・フェラーリンや、1920年にアンサルド SVA.9 でローマから東京まで飛行したイタリア空軍のパイロット、アルトゥーロ・フェラーリンとされている。
軍を辞めたポルコとの友人関係は現在でも続いており、彼の空軍への復帰を強く望んでいる。また軍人という立場でありながら、彼がポルコやジーナに軍の機密情報を密かに横流しするなどして協力している為、空軍はいまだにポルコを捕らえられずにいる。一方で立場をわきまえずに平然としているポルコに呆れてもいる。コールサインは、F。
ポルコが空軍に入隊して以降の仲間であり、ポルコやジーナたちの幼馴染ではないため、子供時代の写真には写っていない。
ベルリーニ(Bellini)
ポルコの亡き戦友で、ジーナの最初の夫。第一次世界大戦の最後の夏に空中戦で死亡した。ポルコの回想のなかでのみ現れる。名前の由来は、1930年代の速度記録の樹立を試みる最中に命を落としたテストパイロットの一人スタニスラオ・ベルリーニと考えられている。
空賊連合(Aero Viking Association/Band of air pirates)
主にアドリア海を縄張りとする空賊団で構成されたギルド。大きな獲物を狙う場合など、時に協力して「仕事」を行う。持ち回り制で組合長もいるが、実際は単なる寄り合い所帯の向きが強い。
作中では7団体が加盟していて、原作『飛行艇時代』によれば、マンマユート団は加盟こそしていないが、特に対立もしていない事も劇中のボス達の密談で判明する。それぞれの空賊団の構成員達は、そのボスと容姿が似ている。
彼らの共通のマドンナはマダム・ジーナであり、屈強な彼らも彼女の前ではまるで子供扱い。また彼女の店の半径50km以内では決して仕事はしない取り決めである。同様に彼らの共通の敵である賞金稼ぎのポルコ・ロッソとも、彼が店にやって来るのに居合わせた際にも眉をひそめる程度で別にもめ事を起こしたりはしない。
映画パンフレットによると、それぞれの空賊のボスはAがフランス人で左目に眼帯をした男。Bがスイス人で黒髪の小柄な男。Cがシシリー人でモヒカン刈りをしている男。Dがノルマンの末裔で背が高く左頬に傷痕がある男。Eがプロヴァンス人で禿頭に傷痕がある男。Fがオーストリア=ハンガリー帝国の元貴族で眉間に三日月状の傷痕があり眼鏡を掛けている男。Gがクロアチア人で顎髭のある茶髪の男。
劇中では、Aが空賊連合組合長。ポルコとカーチスのボクシングのレフェリーを務めたのがC。
イメージボードには、一番大きい飛行艇を使っているのがF、一番零細企業がGと表記がある。
ラストシーンでも年老いた彼らが登場し、あいかわらずアドリアーノに集う様子が描かれている。葉巻をくわえながらポルコ・ロッソの本を読んでいるのがA。Aの左隣でサングラスを掛け葉巻を指に挟んでいるのがD。チェス盤を置いているテーブルを囲んでいるのがB、C、E、F。このうちサングラスを掛け、頬杖をつきながらコーヒーカップを持っているのがB。後頭部が描かれているのがC。パイプをくわえているのがE。立っているのがFである。
登場する水上機
水上機
物語に登場する水上機は、実在した機体をモデルにしている型とオリジナルとが混在している。
サボイアS.21試作戦闘飛行艇
ポルコの愛機である飛行艇。劇中で大改修を受ける。商品展開などで区別が必要な場合、設計主任フィオのイニシャルを取って、改修後の姿を「サボイアS.21F」「F後期型」とする事もある。
改造前のサボイアS.21試作戦闘飛行艇は、たった1機だけが製造された試作機である。離着水において「危なくて飛べない」と言われるほど過激なセッティングが災いして、軍用機として正式採用されることはなかった。ポルコ曰く「倉庫で埃をかぶってた」ところをローンで購入したもので、離着水の難しさは認めつつ「スピードに乗れば、粘りのある翼だ」と評価している。
作中では冒頭の時点で既にエンジンが不調であり、ローン完済直後にポルコはいよいよ限界と悟り、休暇を兼ねてエンジン修理のためにミラノへ回送飛行中にカーチスと空戦になり、エンジントラブルが原因で撃ち落とされ、胴体部分しか残らないほぼ全損となった。その損傷度合いはピッコロ親父にも「新造した方が早い」と言われるほどだったが、ポルコの本機に寄せる強い思いによってF後期型へと再生の道を辿った。改修を任されたフィオは翼まで木製モノコックで作り木の性質を熟知した計算書を見て、設計者の職人技にいたく感心していた。
ピッコロ社でポルコがピッコロ親父に見せられた新エンジンには「GHIBLI」(ジブリ、イタリア語ではギブリ)の刻印がされており、ポルコはこれをフォルゴーレ(イタリア語で雷電という意味らしい)と呼んでいる(ピッコロの親父曰く「出所は聞くな」らしい)。これは、出版物などではフィアット製のフィアット AS.2 エンジンだとされているが、フィアット AS.2は下で紹介されているマッキ M.39が搭載していたものである。なお、原作漫画の中ではフィアット AS.2ではなくロールス・ロイス ケストレルを新たに採用していた。
機体の垂直尾翼の白い部分に描かれたマークは、原作ではポルコの出身地であるジェノバ市の市章。主翼の裏と垂直尾翼は原作・映画共にイタリア国旗の色に塗られている。映画の垂直尾翼の白い部分には前述の市章の色違いが描かれ、そのマークの上に赤いRの文字が書かれている。
実在した同名の飛行艇サヴォイア S.21は複葉機であり、物語の機体とはまったく異なる。これは、宮崎が昔一度だけ見て印象に残ったものの、資料がないこともありそれが何だったか分からずにいた機体を再現したためである。後の対談でモデルとなったのは「マッキ M.33」であると判明した。
エンディングでフィオがその後の話を語っている最中、ジーナの店の上を飛ぶシーンがあるが、よく見ると裏庭に続く道に、この飛行艇のように見える紅い機体が係留されている。
時代が現代になったエピローグにおいて、ターボプロップエンジンに2重反転プロペラ、マッキ MC.200のような半解放式風防を付けた本機がジェット旅客機を追い越していくシーンが作られたが、本編ではカットされた。
カーチス R3C-0非公然水上戦闘機
全長:6.29m 翼幅:8.1m 全高:3.15m 最高速力:348km/h
ポルコの対抗馬であるカーチスの水上機。完全なオリジナルであったポルコの乗機とは異なり、実在のシュナイダー・トロフィー・レース優勝機カーチス R3C-2の(非公然)改造機という設定。
ブローニング製のプロペラ同調式機関銃を2丁装備したほか、レーサー時の翼面冷却をやめて機首下面に外付けラジエーターを付け、最高速度の低下と引き替えに整備性と信頼性をアップさせた。実は、このラジエーターは日本の川崎88式偵察機から流用したジャンクパーツという設定である。また速力ではサボイアを上回り、旋回力で劣り、上昇力は同等と分析された。
ポルコの真紅のサボイアと対照的な濃青色は、第二次世界大戦期のアメリカ海軍機色を彷彿とさせ、カーチスがアメリカ人であるというイメージ付けにも一役買っている。垂直尾翼の黄色い帯上に描かれたマークは青い「幸運のガラガラヘビ」。ポルコとの最終決戦時には胴体の白帯に矢が刺さったハートマークが描き加えられている。
マッキ M.39(M.52)
主人公の元同僚、フェラーリンがポルコを先導したときの機体。M.39は1926年度のシュナイダー・トロフィー優勝機であり、アメリカの3連覇を阻止した機体でもある。M.52は次回のシュナイダー・トロフィー用の機体でM.39の発展型であり、外形に大きな差はない。映画に登場したものはM.39/M.52両者の特徴が混在しており、宮崎は「形式不明ってことにしておいてください」と説明している。
サヴォイア・マルケッティ S.55
ポルコとカーチスの対決を阻止しようと出動したイタリア空軍編隊にその姿が見える。双胴の飛行艇で、1933年に編隊で大西洋往復を成し遂げた。映画のロケハン時に偶然これを記念する碑文を見つけ、満面の笑みでその前に立つ宮崎の写真が残っている。
マッキ M.5
回想シーンにてポルコがまだ人間だった頃乗っていたイタリア海軍航空隊の戦闘飛行艇。本機は、敵のオーストリア・ハンガリーの飛行艇ローナー Lを鹵獲してコピーしたマッキ L.1から独自に発展させた物。メーカーであるニューポール・マッキ社でライセンス生産していたフランス製ニューポール戦闘機の一葉半形式の主翼を組み合わせ、本家よりも良い飛行艇になった。
声の出演
スタッフ
映像制作
製作委員会
吹き替え版
主題歌
主題歌「さくらんぼの実る頃」
- 作詞:J.B.Clément/作曲:A.Renard/歌:加藤登紀子/ピアノ演奏:富樫久美子
エンディング・テーマ「時には昔の話を」
- 作詞・作曲・歌:加藤登紀子/編曲:菅野よう子/ピアノ・アレンジ:大口純一郎
- 1992年3月28日に加藤のコンサートでライブ録音されたヴァージョンが使用された。
加藤登紀子は歌手業が本業であり、役者業をメインとしていないことも関係しているが、本作はジブリ作品史上、ヒロイン役を演じた役者(加藤)が主題歌の歌唱を兼任した初の作品である。他にヒロイン役の役者が主題歌を兼任したジブリ作品としては、本作の公開から3年後の1995年に公開された『耳をすませば』、12年後の2004年に公開された『ハウルの動く城』、14年後の2006年に公開された『ゲド戦記』がある。
賞歴
- 第47回毎日映画コンクール・アニメーション映画賞
- 第10回ゴールデングロス賞・最優秀金賞、マネーメイキング監督賞
- 第5回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞
- 第66回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第4位 / 読者選出日本映画第3位
- アヌシー国際アニメーション映画祭・長編部門グランプリ
売上記録
(日本国内)
テレビ放送の視聴率
関連商品
作品本編に関するもの
映像ソフト
- 紅の豚 VHS – 徳間書店(1992年12月21日)
- 紅の豚 LD – 徳間書店(1997年6月15日)
- 紅の豚 VHS – ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント(1999年4月23日)
- 紅の豚 DVD – ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント(2002年3月29日)
- DVD(宮崎駿監督作品集) – ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (2014年7月2日)
- 紅の豚 Blu-ray Disc – ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン(2013年7月17日)
- Blu-ray Disc(宮崎駿監督作品集) – ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (2014年7月2日)
出版
- 『紅の豚』原作 飛行艇時代(大日本絵画、1992年7月)ISBN 4-499-20595-6
- 映画『紅の豚』原作 飛行艇時代 (増訂版:大日本絵画、2004年11月)ISBN 4-499-22864-6
- 紅の豚(THIS IS ANIMATION)(小学館、1992年8月20日)ISBN 4-09-101536-0
- 時には昔の話を 宮崎駿・加藤登紀子対談(徳間書店、1992年8月31日)ISBN 4-19-554946-9
- 紅の豚―メモリアル(講談社ヒットブックス、1992年9月)ISBN 4061777262
- 紅の豚―フィルムコミック(1)(徳間書店、1992年9月20日)ISBN 4-19-772090-4
- 紅の豚―フィルムコミック(2)(同上、1992年9月20日)ISBN 4-19-772091-2
- 紅の豚―フィルムコミック(3)(同上、1992年10月25日)ISBN 4-19-772100-5
- 紅の豚―フィルムコミック(4)(同上、1992年10月25日)ISBN 4-19-772101-3
- ジ・アート・オブ 紅の豚(徳間書店、1992年10月30日、新装版1997年5月)ISBN 4-19-812100-1
- ロマンアルバム 紅の豚(徳間書店、1992年11月1日、新装版2001年5月)ISBN 4-19-720160-5
- スタジオジブリ作品関連資料集IV(スタジオジブリ、1996年12月31日)ISBN 4-19-860628-5
- 紅の豚(スタジオジブリ絵コンテ全集7)(徳間書店スタジオジブリ事業本部、2001年9月30日)ISBN 4-19-861424-5
- ジブリの教科書7 紅の豚(スタジオジブリ編、文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉、2014年9月10日)ISBN 4-16-812006-6
- シネマ・コミック7 紅の豚(文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉、2014年9月10日)ISBN 4-16-812106-2
- 紅の豚 宮崎駿イメージボード全集5(スタジオジブリ編、岩波書店、2025年12月)ISBN 978-4000288354
音楽
- 紅の豚 イメージアルバム かっこいいとは、こういうことさ 徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD/1997年5月21日)TKCA-71155(オリジナル盤/1992年5月25日))
- 紅の豚 サウンドトラック 飛ばねえ豚はただの豚だ! 徳間ジャパンコミュニケーションズ((再発版CD/1997年5月21日)TKCA-71156(オリジナル盤/1992年7月22日))
- 紅の豚 ドラマ編 どうやったらあなたにかけられた 魔法がとけるのかしらね 徳間ジャパンコミュニケーションズ(1992年9月25日)TKCA-30663
- スタジオジブリ 宮崎駿&久石譲 サントラBOX [Box set, Limited Edition](CD)徳間ジャパンコミュニケーションズ(2014年7月16日)
その他関連書籍
- 宮崎駿 映画の風(編著 空の会、創樹社、1993年12月)
- 宮崎駿の雑想ノート(大日本絵画、増訂版1997年8月)ISBN 4499226775。初版・1992年12月
プラモデル
- サボイアS.21Fフォルゴーレ号 「原作版・後期型」 1/72スケール(ファインモールド)
- サボイアS.21試作戦闘飛行艇 1/48・1/72スケール(ファインモールド)
- サボイアS.21F 「後期型」 1/48・1/72スケール(ファインモールド)
- カーチスR3C-0非公然水上戦闘機 1/48・1/72スケール(ファインモールド)
- サボイアS.21試作戦闘飛行艇 1/72スケール塗装済 完成品(ファインモールド)
- サボイアS.21F 「後期型」1/72スケール塗装済 完成品(ファインモールド)
脚注
注釈
出典
参考文献
- アニメージュ編集部編『ジブリロマンアルバム・紅の豚』ISBN 4197201605
- アニメージュ編集部編『THE ART OF 紅の豚』ISBN 4198121001
- 大日本絵画『飛行艇時代―映画「紅の豚」原作 増補改訂版』ISBN 978-4499228640
関連項目
- 宮崎駿
- 森山周一郎
- 宮崎駿の雑想ノート
- モデルグラフィックス
- 飛行艇
- カサブランカ
- 華麗なるヒコーキ野郎
- 空飛ぶ豚
- ナヴァイオ海岸 – ポルコのアジトの参考元。
- なんだろう – 日本テレビのマスコットキャラクター、本作で初使用。
外部リンク
- 紅の豚 – スタジオジブリ公式サイト
- 紅の豚 – 東宝WEB SITE
- 紅の豚 – 日本映画データベース
- 紅の豚 – allcinema
- 紅の豚 – KINENOTE
- 紅の豚 – MOVIE WALKER PRESS
- 紅の豚 – 文化庁日本映画情報システム
- 紅の豚 – 映画.com
- Porco Rosso – オールムービー(英語)
- Porco Rosso – IMDb(英語)
- 紅の豚 – メディア芸術データベース
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